ヴァンパイアに、死の花束を
シオの車に誘導されながら、わたしたちはレイの車で吸血鬼のアジトへと向かった。

これから竜華雅との対決を控えている状況で、小さな雪音を連れていくわけにもいかず、雪音の安全を確保することが先決だった。

「レイ、吸血鬼のアジトって本当に安全なの?シオを信用してもいいのかな?」

レイが前を走るシオの車を目で追いながら話す。

「吸血鬼の一族がもともとイヴを崇拝していたのは間違いないよ。ただ、今は雅の勢力が彼らを押さえこんでいるけどね。とにかく、ここは信用してついて行くしかなさそうだ」

2つに割れてしまった吸血鬼の勢力。

イヴを“危険因子”とする雅の勢力と、イヴを崇拝しているらしいシオたちの勢力。

また、わたしの知らないところで、大きな渦が巻き起こって、わたしはどうしようもできないでいる。

でも、雪音だけは、どうしても撒きこむわけにはいかないんだ。

シオの車に従って、徐々に人気のない山奥へと入っていく。

しばらくすると、赤い鳥居が連なる神社の境内が見えてきた。

…こんなところに神社なんてあったっけ?

シオが最初の鳥居の前で車を止め、ドアから出てくるとこちらを振り返った。

「イヴ様。我々のアジトはこのすぐ先です」


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