ヴァンパイアに、死の花束を
頭の奥がガンガンする。

耳鳴りが止まらない。

悪意のこもった囁きが聴こえる。

『……イヴ様が双子であったとは。しかしこれほど瓜二つでは、従う者たちの心は一つに定まらないであろう。……一人を…闇に葬るしか、ない…な…』

……これは、ヴァンパイアたちの…声……?

『しかし、姉と妹。性格はまるで違う。それに、ヴァンパイアエナジーは姉の方が強いようだが、妹の方はまるでエナジーを感じない。…いや、だからこそ不気味だ。……さて、どちらが我々の始祖に相応しいか……』

……知ってる。

わたしは、この声を………



一千年前に――――――聞いていた……………!!!



「……のんちゃん」

……誰?…わたしを呼ぶのは……。

「神音ちゃん…!」

声に導かれるように瞳を開けた。

目の前に、レイの心配そうな青の瞳があった。

「…レ…イ?」

「良かった。目が覚めたね」

「ここは?」

わたしの問いかけに、レイはすぐ察したように微笑んだ。

わたしは畳に敷かれたふとんに寝かされていた。

ここは、茶室のような床の間のある畳部屋だった。

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