ヴァンパイアに、死の花束を
「この波動の鎖には、“毒”が仕込まれている。触れば波動によって切られた傷から毒が体に入り込み、ひとたまりもない。そこのヴァンパイアも下手に動けば、切り刻まれた体に毒が流れる…という仕組みさ」
男はくっくと楽しげに笑うと、赤い舌を突き出し綺羅の首筋をひと舐めした。
「きゃあ!やめなさいよ!エッチぃ~!」
ちょっと間延びしたような綺羅の場違いな声を気に留めることもなく、男は雨に濡れた顔でわたしをまっすぐに見つめた。
「入江神音…いや、ヴァンパイアの始祖イヴ…彼女を殺されたくなかったら、こちらへ来ていただこう」
あまりの突き刺すような射抜く視線に、胸の鼓動が激しくなった。
ドクン…ドクン……どうしよう。
キュっと唇を結んで一歩踏み出そうとしたその時、シオが後ろからわたしの肩を掴んで言った。
「飛竜(ひりゅう)。その女はイヴ様の代わりにはならない。殺したければ殺せばいい。だがイヴ様を渡すことはできない」
「…なっ、何言ってるの?シオ!!」
シオのあまりの冷たい言葉に背筋が凍りつくようだった。
シオがわたしの肩を掴む力は強くて、容易には動けそうにない。
「…わかった、シオ。では、お望み通り…といこうか」
飛竜と呼ばれた男が持っていたナイフを高く突き上げ、その切っ先を綺羅の首へと傾けた。
「……きゃ…ぁぁあああああ!!」
綺羅の悲鳴が空を突き抜ける様にこだました。
「…綺羅――――――――!!!!!」
男はくっくと楽しげに笑うと、赤い舌を突き出し綺羅の首筋をひと舐めした。
「きゃあ!やめなさいよ!エッチぃ~!」
ちょっと間延びしたような綺羅の場違いな声を気に留めることもなく、男は雨に濡れた顔でわたしをまっすぐに見つめた。
「入江神音…いや、ヴァンパイアの始祖イヴ…彼女を殺されたくなかったら、こちらへ来ていただこう」
あまりの突き刺すような射抜く視線に、胸の鼓動が激しくなった。
ドクン…ドクン……どうしよう。
キュっと唇を結んで一歩踏み出そうとしたその時、シオが後ろからわたしの肩を掴んで言った。
「飛竜(ひりゅう)。その女はイヴ様の代わりにはならない。殺したければ殺せばいい。だがイヴ様を渡すことはできない」
「…なっ、何言ってるの?シオ!!」
シオのあまりの冷たい言葉に背筋が凍りつくようだった。
シオがわたしの肩を掴む力は強くて、容易には動けそうにない。
「…わかった、シオ。では、お望み通り…といこうか」
飛竜と呼ばれた男が持っていたナイフを高く突き上げ、その切っ先を綺羅の首へと傾けた。
「……きゃ…ぁぁあああああ!!」
綺羅の悲鳴が空を突き抜ける様にこだました。
「…綺羅――――――――!!!!!」