ヴァンパイアに、死の花束を
兄と妹
レイと綺羅、そして陣野先生が去ってしまってから、一夜が明けた。
わたしと雪音は、最初に連れられてきた10畳の床の間のある部屋で一夜を明かした。
明かした、というよりは、いつの間にか朝が来てしまった…と言ったほうが正しいだろう。
ふとんに横になってはいたものの、レイや綺羅や陣野先生、そして穂高がどうなっているんだろうと考え始めてしまうと、なかなか寝付くことはできなかった。
それよりも、今が朝なのかどうかもよくわからなかった。
ここは地下1階で、窓なんて当然ないから朝陽が差し込んでくることもない。
ただ、不思議なものだ。
全てを見通せてしまう深紅の瞳の“特殊能力”に目覚めたせいか、外では朝陽が照っていることを“感じる”のだ。
瞳を閉じると、雨の滴をしたたらせた森の木々の葉に、朝の心地よい陽が照りつけているのを“見る”ことができる。
ただ見ることができるのは、1キロほどの範囲らしかった。
今は、このアジトや神社の周辺なら見ることができるようだった。
「…お姉ちゃん…おはよ」
雪音が隣のふとんから顔を出し、眠そうに目をこする。
「おはよ。雪音、眠れた?」
「うん。ウサギの夢…見た」
雪音のかわいらしい夢バナに笑ってしまう。
ウサギとは、雪音のお気に入りの赤いウサギのぬいぐるみのことだろう。
雪音と顔を見合わせて笑っていると、部屋のふすまの外から女性の声が聴こえた。
「神音様、雪音様。お目覚めでございますか?朝食の準備があちらに整ってございます」
わたしと雪音は、最初に連れられてきた10畳の床の間のある部屋で一夜を明かした。
明かした、というよりは、いつの間にか朝が来てしまった…と言ったほうが正しいだろう。
ふとんに横になってはいたものの、レイや綺羅や陣野先生、そして穂高がどうなっているんだろうと考え始めてしまうと、なかなか寝付くことはできなかった。
それよりも、今が朝なのかどうかもよくわからなかった。
ここは地下1階で、窓なんて当然ないから朝陽が差し込んでくることもない。
ただ、不思議なものだ。
全てを見通せてしまう深紅の瞳の“特殊能力”に目覚めたせいか、外では朝陽が照っていることを“感じる”のだ。
瞳を閉じると、雨の滴をしたたらせた森の木々の葉に、朝の心地よい陽が照りつけているのを“見る”ことができる。
ただ見ることができるのは、1キロほどの範囲らしかった。
今は、このアジトや神社の周辺なら見ることができるようだった。
「…お姉ちゃん…おはよ」
雪音が隣のふとんから顔を出し、眠そうに目をこする。
「おはよ。雪音、眠れた?」
「うん。ウサギの夢…見た」
雪音のかわいらしい夢バナに笑ってしまう。
ウサギとは、雪音のお気に入りの赤いウサギのぬいぐるみのことだろう。
雪音と顔を見合わせて笑っていると、部屋のふすまの外から女性の声が聴こえた。
「神音様、雪音様。お目覚めでございますか?朝食の準備があちらに整ってございます」