ヴァンパイアに、死の花束を
バッと腕をつかまれ、荒々しげに体を反転させられる。

わたしは背中を壁に押し付けられぶつけた反動で「…う」と声を漏らした。

少し陽の陰った空からの逆光でよく前が見えない。

……だ……れ…?

瞬きをしながら見上げたわたしの目の前に、わたしの体を壁に押し付けるように立っていた穂高の顔があった。

「……穂高!!」

黒のパーカーを着てわたしをじっと見つめる穂高の瞳は厳しかった。

…まるで怒っているみたいに。

「穂高、どうしたの…?」

眉をしかめて泣き顔のわたしを見ると、穂高は体育倉庫の裏の誰も通らない死角のような場所…今朝陣野先生がいた場所までわたしを無理やり引っ張りこんだ。

そして体育倉庫の壁に再びわたしを押し付けると、セーラー服の胸のホックをいきなり引きちぎった。

「……穂高、何するの……!?」

腕を穂高の胸に押し付け抵抗するわたしの両腕を穂高は強い力で掴むと、壁に押し付けわたしの身動きを封じた。

直後。

ドクンと激しいほどの心臓の高鳴りにわたしの体は硬直した。


…………熱い!!!

胸が……堪らなく熱い!!!






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