ヴァンパイアに、死の花束を
鬼との対峙
鋭く空を斬る音。
次の瞬間、ザシュっと江島先生の喉に突き刺さる何か。
「あ……あぁあああ!!」
江島先生はわたしの喉から唇を離すと、悶えながら喉に突き刺さった黒の薔薇の花を抜き取った。
唇からわたしの血を滴らせ、苦しそうにもがく江島先生。
「…はぁ…ふ…ぅ…ほ、穂高……」
呼吸を整えながら、穂高の名を呼んだわたしに、彼は駆け寄ってきた。
その途端、江島先生は廊下の外へとすごいスピードで走り出ていく。
「え…江島先生!!…穂高…江島先生を追わなきゃ……!!」
「彼女は隔世遺伝の吸血鬼だろう。誰も彼女の存在を知らなかった。彼女はたった今、自分の血に目覚め、自分の体に恐怖を感じている。何をするかわからないな…」
「じゃ、じゃぁ、速く追わなきゃ!!」
「その前に…」
穂高は屈みこんで物憂げにわたしの血に染まった喉を見る。
「まだ目覚めていない君のこの傷は治癒しないと危険だ」
……………え―――――――――――。
……「ちゅぅうう」という傷を吸う音。
穂高がわたしを抱きしめながら、わたしの喉の傷に唇を当てる。
牙を立てるのではなく、傷を撫でるように、優しく這う穂高の舌と唇。
「………あ……ん……」
………キスされてるみたい。
甘くて、ほのかに漂うエクスタシーの香り。
………「快感」ってこういうもの……?
キスの刻印で人間を虜にするヴァンパイアのエクスタシーの力。
………穂高の嘘つき。
自分は刻印の力は持っていないなんて言って、ほんとうは女の子を「虜」にできるんじゃないの………?
次の瞬間、ザシュっと江島先生の喉に突き刺さる何か。
「あ……あぁあああ!!」
江島先生はわたしの喉から唇を離すと、悶えながら喉に突き刺さった黒の薔薇の花を抜き取った。
唇からわたしの血を滴らせ、苦しそうにもがく江島先生。
「…はぁ…ふ…ぅ…ほ、穂高……」
呼吸を整えながら、穂高の名を呼んだわたしに、彼は駆け寄ってきた。
その途端、江島先生は廊下の外へとすごいスピードで走り出ていく。
「え…江島先生!!…穂高…江島先生を追わなきゃ……!!」
「彼女は隔世遺伝の吸血鬼だろう。誰も彼女の存在を知らなかった。彼女はたった今、自分の血に目覚め、自分の体に恐怖を感じている。何をするかわからないな…」
「じゃ、じゃぁ、速く追わなきゃ!!」
「その前に…」
穂高は屈みこんで物憂げにわたしの血に染まった喉を見る。
「まだ目覚めていない君のこの傷は治癒しないと危険だ」
……………え―――――――――――。
……「ちゅぅうう」という傷を吸う音。
穂高がわたしを抱きしめながら、わたしの喉の傷に唇を当てる。
牙を立てるのではなく、傷を撫でるように、優しく這う穂高の舌と唇。
「………あ……ん……」
………キスされてるみたい。
甘くて、ほのかに漂うエクスタシーの香り。
………「快感」ってこういうもの……?
キスの刻印で人間を虜にするヴァンパイアのエクスタシーの力。
………穂高の嘘つき。
自分は刻印の力は持っていないなんて言って、ほんとうは女の子を「虜」にできるんじゃないの………?