ヴァンパイアに、死の花束を
渇き
『神音、10歳の誕生日おめでとう!今日は神音の誕生日だから、びっくりするくらい大きなステーキ焼いちゃうからね』
『ママ、今日ステーキなの?やった!』
飛び跳ねるわたしの横で、それを微笑ましく見つめる優しいパパの顔。
パパの膝には、赤いウサギのぬいぐるみを持った雪音がニコニコと笑顔で座っている。
ママは両手いっぱいの薔薇の花束を食卓テーブルの上に飾った。
『いただきます!!』
食卓に上ったステーキに手をつけようとしたわたしは、不思議に思い、ナイフを動かす手を止めた。
『…ママ、これちょっと…あんまり焼いてないみたい。わたし、レアじゃないほうが…』
『そう?いつもこれくらいだったわよ』
血の滴るレアな肉をおいしそうに食べるママを見て、わたしは再びナイフを動かし始めた。
……ゴクン、と喉が鳴る。
なんだろう?
不思議と、赤い血の色に惹かれた。
鮮やかで、濁りのない、その色。
………目に飛び込んできたその鮮やかな色が、瞳の神経に侵入し、わたしの体中の細胞をざわめかせる。
血の色に、わたしの体はゾクゾクと震える。
喉が、ひどく、渇く。
細胞の全てが、飢えているのを感じる。
『……っ……ママ、苦しい……!』
『…神音?』
「……ママ!!!」
体を起こした瞬間、ザーザーと降る雨の音だけが響くわたしの部屋に、ひどく寂しさがこみ上げてきた。
6年前からずっとある感覚。
ママがこの世にいない、現実。
「……夢、かぁ」
『ママ、今日ステーキなの?やった!』
飛び跳ねるわたしの横で、それを微笑ましく見つめる優しいパパの顔。
パパの膝には、赤いウサギのぬいぐるみを持った雪音がニコニコと笑顔で座っている。
ママは両手いっぱいの薔薇の花束を食卓テーブルの上に飾った。
『いただきます!!』
食卓に上ったステーキに手をつけようとしたわたしは、不思議に思い、ナイフを動かす手を止めた。
『…ママ、これちょっと…あんまり焼いてないみたい。わたし、レアじゃないほうが…』
『そう?いつもこれくらいだったわよ』
血の滴るレアな肉をおいしそうに食べるママを見て、わたしは再びナイフを動かし始めた。
……ゴクン、と喉が鳴る。
なんだろう?
不思議と、赤い血の色に惹かれた。
鮮やかで、濁りのない、その色。
………目に飛び込んできたその鮮やかな色が、瞳の神経に侵入し、わたしの体中の細胞をざわめかせる。
血の色に、わたしの体はゾクゾクと震える。
喉が、ひどく、渇く。
細胞の全てが、飢えているのを感じる。
『……っ……ママ、苦しい……!』
『…神音?』
「……ママ!!!」
体を起こした瞬間、ザーザーと降る雨の音だけが響くわたしの部屋に、ひどく寂しさがこみ上げてきた。
6年前からずっとある感覚。
ママがこの世にいない、現実。
「……夢、かぁ」