ヴァンパイアに、死の花束を
6年前の、ママがまだ生きていた頃の夢を見るのは久しぶりだった。
10歳の誕生日は楽しかった。
ママが祝ってくれた、わたしの最後の誕生日。
でも夢は、途中からひどくねじ曲がっていた。
ママはあんなレアなステーキは出さなかったし、あんなひどい苦しいほどの渇きも、今まで感じたことはない。
「……なんであんな夢みちゃったんだろ…」
ふと、夢の中と同じ感覚に、わたしは喉を押さえた。
「……渇く」
水が欲しいのとは違う、細胞が渇望しているかのような、渇き。
ベッドのシーツをぎゅっと握りしめる。
「…………わたし……?」
「………遅刻しちゃう!!」
今朝は不思議な夢を見たせいか、いつもより起きるのが遅かったわたしは慌てて学校に行く準備を済ませ、玄関に飛び出した。
学校は目と鼻の先なのだけど、それでももう始業ぎりぎりだった。
雪音が薄いパジャマ1枚で、赤いウサギのぬいぐるみを抱いて玄関に出てきた。
「お姉ちゃん……行って、らっしゃい…」
「雪音!風邪引いてるんだから、そんな格好で出てきちゃだめよ!今日はちゃんと寝てなさいね」
コホ、と1つ咳をして「うん」とうなづいた雪音の頭を撫でて、わたしは家を出た。
10歳の誕生日は楽しかった。
ママが祝ってくれた、わたしの最後の誕生日。
でも夢は、途中からひどくねじ曲がっていた。
ママはあんなレアなステーキは出さなかったし、あんなひどい苦しいほどの渇きも、今まで感じたことはない。
「……なんであんな夢みちゃったんだろ…」
ふと、夢の中と同じ感覚に、わたしは喉を押さえた。
「……渇く」
水が欲しいのとは違う、細胞が渇望しているかのような、渇き。
ベッドのシーツをぎゅっと握りしめる。
「…………わたし……?」
「………遅刻しちゃう!!」
今朝は不思議な夢を見たせいか、いつもより起きるのが遅かったわたしは慌てて学校に行く準備を済ませ、玄関に飛び出した。
学校は目と鼻の先なのだけど、それでももう始業ぎりぎりだった。
雪音が薄いパジャマ1枚で、赤いウサギのぬいぐるみを抱いて玄関に出てきた。
「お姉ちゃん……行って、らっしゃい…」
「雪音!風邪引いてるんだから、そんな格好で出てきちゃだめよ!今日はちゃんと寝てなさいね」
コホ、と1つ咳をして「うん」とうなづいた雪音の頭を撫でて、わたしは家を出た。