ヴァンパイアに、死の花束を
バスケの授業が始まる。

女子と男子で体育館を半分ずつに分けて、今日は男女別クラス対抗ゲームだ。

明日美がさっきまでとは違い、妙にはりきった調子でボールをはじきだした。

「今日はB組に勝ってやる!神音、わたしにボールじゃんじゃん回してよ!」

「うん、全部明日美に回す」

わたしのクラスで一番うまい女子は明日美だった。

ピーっと始まりの笛の鳴った男子のゲームを振り返る。

……穂高だ。

わたしは自分もゲームコートの中にいたけど、始まってすぐにボールを手にした穂高の姿に目を奪われた。

……速い。

穂高は鮮やかにドリブルしながら次から次へとディフェンダーを抜き去っていく。

穂高がスニーカーをきゅっと鳴らし立ち止った瞬間には、もうすでにボールはゴールへの放物線を描いていた。

たちまち決まった3ポイントシュート。

ワっとA組の男子たちの歓声が巻き起こる。

……学校の柵を飛び越えられるくらいだもん。

穂高にとってはバスケなんて、すごく簡単なものなんだろう……なんてぼっとしているうちにこちらのコートの笛が鳴った。

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