ヴァンパイアに、死の花束を
カーテンが開けられた隣のベッドの上で、じっとわたしを見つめる男の子の視線。

サラリと落ちる長めの前髪の奥から、わたしの心を裸にするかのように見つめる強い視線。

わたしを捉え続けるその漆黒の切れ長な瞳は、わたしの心を凍りつかせるほどに、冷たく、底が知れなかった。

「陣野が好きなんだ…?」

「……え?」

すっくと立ち上がって、わたしのベッドに近づいてくる彼に、わたしは怯えてさえもいた。

こんな強い眼差しは、初めてだった。

ベッドの上に座り、彼はわたしの後ろの壁に、わたしの頭を挟んで両手をついた。

彼にすっかり動きを封じられた状態のわたしは、少し震え出していた。

「…な、なに?あなた…誰?」

目の前の綺麗に整った顔が、意地悪く微笑む。

「入江神音(いりえ かのん)。オレは君のことなら、なんでも知ってる」

「な、なんでも…って!?」

「たとえば……ファーストキスが、まだだとか…?」

「…な!?」

言い当てられたわたしが、真っ赤になって眉を吊り上げた瞬間。

あまりに真剣な彼の眼差しに、わたしはドキリとした。

「キスの刻印って、知ってる?」



………キスの、刻印………?





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