「ごめんなさい。伊織の彼女って見た事がないから嬉しくて」



とても一児の母とは思えない可愛いらしい笑顔を茜音さんは私に向ける




「…いえ、私は………」


ブンブン手を振って否定すると



「なぁに?伊織の片思いなの?」



茜音さんはクスクス笑って



「そうみたいだね」


伊織くんもにっこり笑ってた




…………えぇっ!?

なに、もう、私ってば二人にからかわれてんのかなぁ?




「あんまり変な事を言わないでよ茜音さん。空羽ちゃんに嫌われたら、どう責任とってくれる?」




「はい、はい。ごめんなさい。お母さんは黙ってますよ」




………やっぱり、からかわれてるね。私って




「親父は?」



伊織くんの言葉に



「さぁ?また、どっか行ってるんでしょ?」



茜音さんは涼しい表情で答えた



「せっかくオレが伊音みてるんだから二人で出かければ良かったのに」



伊織くんの言葉を聞くと


お父さんと茜音さんの関係を大切にしてるんだって感じる


こんなに若い再婚相手、普通なら多少は複雑な気持ちになるところなのに………


伊織くんは寛大なんだな


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