空
――空羽が亡くなる2週間前――
「え?好きな人?」
私の言葉に
「うん!」
頬を少し赤く染めて
空羽はうなずいた
「好きな人が出来たんだ♪」
そう言って嬉しそうに笑う空羽
「え~、誰よ?」
私がひやかす ように
空羽に軽く肩を寄せると
「知りたい~?」
もったい つける ように
空羽は私を見つめた
「何よ、空羽はしゃべりたいんでしょ~?仕方ないから聞いてあげるよ」
「えへへ……バレたか」
「早く早く、ねぇ、どんな人?」
私が聞くと
「あのねぇ………」
空羽は彼との出逢いを
話してくれた
空羽と新堂さんの出逢い
季節外れの雪が降る
4月下旬の事