どのくらいの時間


私は震え、あの日に戻っていたのだろう



「……ごめん、てっちゃん」



てっちゃんの胸から顔を上げようとするけど



てっちゃんは腕の力を緩めずに



私をきつく抱いたまま



「風羽。もう、あの男に会うな」



「…………え?」



「空羽の好きだった男なんて

やっぱりダメだ。

空羽が怒るとか
そんな問題じゃない

風羽が空羽の事を………

きちんと消化出来ない限り

空羽に関する事に近づくべきじゃない」



………てっちゃん



「今夜はオレもうどこにも行かねぇで風羽のそばにいるから」



くしゃくしゃっ………

乱暴に私の頭をなでて



「腹減ったな。晩飯、何にしようか?」


立ち上がり部屋の電気をつけて



キッチンで冷蔵庫を開けて



「炒飯でも作ってやるか?」



何事もなかったかのように
私に優しく笑いかけた



< 132 / 394 >

この作品をシェア

pagetop