空
ぽやや~~ん と
私が 彼を見つめていると
「あの………」
彼が口を開いた
ハッ
じっと見つめちゃって
私ってめちゃくちゃ怪しい?
「ごっ、ごめんなさい、
すみません~!」
ペコペコ謝ると
「えっ?いや、そうじゃなくて
中にどうぞ」
頭を下げる
私に彼は優しく言った
「寒いでしょう?
中で休んでください」
その言葉に
彼はお客さんじゃなくて
本屋さんなんだ
そう思った
「………でも~」
私が遠慮すると
「別に本を買えなんて言わないよ。オレも今、店番で暇なんだ」
彼はニッコリ笑って
「少し話し相手になってよ」
私にそう言った