空
本屋さんのレジの奥にある部屋
在庫なのかな
本が山積みになって
インクの匂いがする
椅子に座ってると
「はい」
温かいコーヒーを渡された
「熱いから気をつけて」
彼の言葉に
「ありがとうございます」
マグカップを受け取るけど
私、カフェインだめなんだよね
マグカップを両手に包み
冷えた手を暖める
「新堂 伊織(シンドウイオリ)」
「え?」
「オレの名前だよ。君は?」
「あっ、島本 空羽(シマモトクウ)です」
「くう?」
新堂さんは首を少し傾げた
「はい。空に羽で くう って読みます」
「へぇー、可愛いね」
ドッキ―――――ン
カァァァァァァ~
頬が赤くなるのが
自分でもわかる
やだ、やだ
名前だよ
可愛いのは名前