私、そんな寂しげな瞳をしたのかな?


空羽を亡くして


確かに…寂しかったし
苦しかったけど………



「ここから、オレたち始められないかな?」


伊織くん


「……君はオレのこと嫌い?」



ブンブン
首を横に振って


「………私は…………」



空羽


許してくれる?



――風羽が楽しい時は私も楽しい



目を閉じると

空羽の笑顔が浮かぶ


空羽…………



ゆっくり目を開いて


「私も伊織くんが好きです」



まだ完璧に気持ちの整理がついた訳ではないけど


伊織くんが好き


この気持ちを隠したって


空羽は喜ばない事


それは わかるから………



「ありがとう……」

優しく


「風羽ちゃん」


私の名前を言った伊織くんが


安心したように


少し うつむいた



――ありがとう


この言葉に どんな意味が含まれていたのか



未だに わからないよ伊織くん



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