後ろ……振り返ってみる?



………ううん、怖い

無理、出来ない………



ウ゛~ウ゛~
バッグの中、ケータイのバイブの音がして



慌てて肩にかけたバッグの中からケータイを出して



「……はい」


声が震えた


「風羽ちゃん、今、大丈夫?」



「い、伊織くん……」


「………風羽ちゃん?」


私の様子に気がついた伊織くんが


「どうしたの?風羽ちゃん」


「今…バイトの帰りで……」


後ろの足音に聞こえないように小さな声で話した



もちろん恐怖心で大きな声なんて出ないんだけど



「へ…変な人が…ずっと着いてくるの……」



「風羽ちゃん、近くに交番か、開いてる店はない?」



「……50M先にコンビニある」



「じゃ、そこに入って。コンビニに着くまでケータイ切らないでね」



「う……うん」


なんだか

伊織くんの声を聞いてると

怖い気持ちが堰を切って溢れて

泣いちゃいそうだった



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