空
初めて来る伊織くんの部屋
玄関で靴を脱ぎ、壁のスイッチに触れ、電気をつける彼の背中を見てから
私もスニーカーを脱ぐ
しゃがんで靴を揃えると
伊織くんの大きな靴の隣に
私の靴
なんだか少し感動して
しばらく並んだ靴を見つめてた
「風羽ちゃん?」
そんな私を不思議そうに伊織くんが見る
「あっ、お邪魔します」
キッチンを通り抜けて
部屋に入る
1Rのお部屋
てっちゃんの部屋みたいに
雑誌や脱ぎ捨てられた服が散乱してる事がない
ちゃんと片付けられた部屋だった
10畳ほどの広さに
ベッド、テーブル、TV、オーディオ………
「適当に座ってて」
私の横を通りすぎ、伊織くんはキッチンに行って
冷蔵庫をのぞいた
私はテーブルの前、絨毯に正座する
緊張して
手のひらには汗をかいていた