空
ベッドに座りTVを見つめた伊織くんが
いつまでも棚の前にいる私に
不思議そうに声をかけた
「風羽ちゃん?」
大丈夫
昔の話だよ
もう終わった事
これを越えなきゃ
伊織くんと だってダメになる
「風羽ちゃん?どうしたの?」
「何でもない」
私は精一杯 笑顔を作って
元いた場所に座った
逃げちゃダメ
今 逃げたら
一生ダメな気がした
これを伊織くんと観れたら
もう大丈夫
大丈夫、大丈夫
何度も心の中で呟いて
私はTV画面を見る