ベッドに座りTVを見つめた伊織くんが



いつまでも棚の前にいる私に
不思議そうに声をかけた



「風羽ちゃん?」



大丈夫


昔の話だよ


もう終わった事


これを越えなきゃ


伊織くんと だってダメになる



「風羽ちゃん?どうしたの?」



「何でもない」



私は精一杯 笑顔を作って
元いた場所に座った



逃げちゃダメ



今 逃げたら



一生ダメな気がした


これを伊織くんと観れたら



もう大丈夫



大丈夫、大丈夫



何度も心の中で呟いて



私はTV画面を見る




< 177 / 394 >

この作品をシェア

pagetop