空
「何でもないの………
ごめんなさい。大丈夫……
もう大丈夫だから………」
やっぱり今日は帰ろう
ううんネットカフェでも いい
一晩 男の人といるなんて
私には無理なんだ
ギュッと
ひざの上で手を握りしめ
悔しくて唇を噛みしめる
「風羽ちゃん」
伊織くんが隣で
「風羽ちゃん、辛い事があるなら、言って欲しい」
「………え?」
「辛い事があるなら、哀しい事があるなら、言って」
「伊織くん………」
「オレなんかが…何も出来ないだろうけど」
伊織くんの顔を見ると
真剣な でも優しい瞳をしてる
「風羽ちゃん」
「怖いの」
「え?」
「そういう事、怖いの
だから、恋愛モノは観れないし…………」
[そういう事]で伊織くんは理解してくれたみたいだった
でも
どうして?と理由を問われたら
私は答えないと決めていた
それだけは知られたくない