「何でもないの………
ごめんなさい。大丈夫……
もう大丈夫だから………」



やっぱり今日は帰ろう



ううんネットカフェでも いい



一晩 男の人といるなんて
私には無理なんだ



ギュッと
ひざの上で手を握りしめ
悔しくて唇を噛みしめる




「風羽ちゃん」


伊織くんが隣で


「風羽ちゃん、辛い事があるなら、言って欲しい」



「………え?」



「辛い事があるなら、哀しい事があるなら、言って」



「伊織くん………」


「オレなんかが…何も出来ないだろうけど」



伊織くんの顔を見ると


真剣な でも優しい瞳をしてる



「風羽ちゃん」



「怖いの」



「え?」



「そういう事、怖いの
だから、恋愛モノは観れないし…………」



[そういう事]で伊織くんは理解してくれたみたいだった




でも



どうして?と理由を問われたら



私は答えないと決めていた



それだけは知られたくない



< 180 / 394 >

この作品をシェア

pagetop