好きな人に そんな過去


知られたくないよ




次の伊織くんの言葉が
怖くて不安で



少しの沈黙がとても長く感じた




「そっか」


小さく呟くように言ってから



「ごめん。知らなくて
じゃ、何か別のモノ観る?」



…………え?



「…あ~、でも もう こんな時間かぁ……」



伊織くんは壁にかかった時計を見上げて


「もう眠くなるよね?DVDはまた今度にしようか」



伊織くんの態度が予想外で
拍子抜けした



だって普通は


理由を訊いたり


そんな女の子イヤだと思うか…



「伊織くん?」


「何?」


「イヤじゃないの?」


「何が?」


「何がって……私…………
出来ないんだよ?多分」



私は きっと 出来ない



そんな彼女…………


要らないでしょう?



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