空
伊織くんは私をじっと見て
両手を繋いだ
伊織くんの手は
とても温かい
「手を繋ぐのは大丈夫?」
私は静かに うなずく
伊織くんは優しく笑ってから
目を閉じた
「こうしてると安心するよオレ
すごく気持ちいい」
「伊織くん………」
「このままで いいんじゃない?」
伊織くんが ゆっくり目を開いて
私を見つめる
「無理しないで、がんばらなくて いいよ。
手を繋ぐだけで こんなに気持ちいい。
そばにいる それ以上の事なんてないよ」
伊織くんの言葉に
気持ちが軽くなる
ギュッと伊織くんの手を強く握って
「……いいの?出来ない彼女で」
伊織くんは笑ってうなずく
「で…でも、努力はするよ私。
伊織くんが好きだもん
きっと…いつかは、怖くなくなる……」
私の言葉を遮って
「努力なんて要らないよ
オレも風羽ちゃんが好きだ
このままの風羽ちゃんが好きだ」
伊織くん………
涙が ブワワワ~と溢れてくる