空
シングルベッドに二人並んで寝ると
肩と腕が触れる
そっと布団の中で
どちらから ともなく
手が触れて
指を絡め手を握る
きゅう~って胸が苦しくなると
「風羽ちゃんの手、気持ちいい」
伊織くんが少し掠れた小さな声で言った
本当だね、伊織くん
指先から伝わるぬくもりが
こんなにも身体中
甘く震わせる
しばらくすると
すぅ……すぅ……
伊織くんの寝息が聴こえてきた
顔だけ横に向けると
近くに伊織くんの寝顔
手を繋いだまま
伊織くんは眠った
……寝顔
やっぱり伊音くんにそっくり
そう思うと1人クスクス笑った
伊織くんはキスをする事もなく
ただ手を繋いだだけ
欲情を我慢してる様子もなく
本当に ただ一緒にいるだけで いいんだと思ってくれてる
私を大切にしてくれるんだ
この時は そう思ってた