空
リビングで
3人テーブルを囲んで
「空羽の一周忌以来ですね?」
てっちゃんは伊織くんに缶ビールを差し出して言う
「あ、オレ車だから…」
伊織くんが遠慮すると
「泊まってってくださいよ」
ねっ?て てっちゃんは
ズイッとビールを伊織くんに出した
「いいの?」
伊織くんが私に訊いて
「うん。良かったらだけど」
「じゃ、いただきます」
伊織くんは笑って
てっちゃんからビールを受け取る
「伊織くんには風羽がいつもお世話になっちゃって……」
「いえいえ」
「伊織くん風羽なんかの
どこがいいんです?」
「てっちゃんっ!」
なんで?
なんで伊織くんに そんなこと言うのっ
「風羽はガサツだし、料理は下手だし……」
やだ やだ やめてよ~
「そんなことないです
風羽ちゃんはすごく可愛いし」
伊織くんは私を見て優しく笑って
「オレには もったいないくらいの女の子だよ」