伊織くん………



「欲しかったんだ

茜音の気持ちなんてどうでもいい


オレの気持ちを満たしたかった」




「………伊織くん…もう…」




もう止めて



そう言おうとしたら



――――ガッ


伊織くんの大きな手が
私の口をふさいだ




「……っん――」



伊織くんの力が強くて苦しい




「そう、こうやって口をふさいで」



伊織くんは
私をベッドに押し倒した




頭の上で両方の手首を伊織くんは片手で掴み押さえつける




「っ………ん~~んっ」



口はふさがれて声が出ない



手首も痛い



「……そう、その目だよ
怖いだろう?

茜音はもっともっと怯えてたよ」




違うよ 伊織くん



私は伊織くんが怖いんじゃない




伊織くんは




自分を傷つけようとしてる




それが哀しいよ





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