生まれてきたのは



伊織くんにそっくりな男の子




「オレの子供だろう?って茜音に聞いたけど


『どうして私が伊織の子供を産むのよ?』って


茜音は最後まで認めなかった


でも茜音


伊音って名前付けたんだ」




伊織くんの『伊』
茜音さんの『音』




本当は




もしかしたら




茜音さんも伊織くんが………





「………親父、もう危ないんだ


手術しても命の保証は出来ないって言われてる」




「……………うん」




「オレには責任があるんだ」





なんだろう




急に気持ちが静かになった





「茜音と伊音に償いもしなきゃいけない」




償い




償いか…………




「ごめん。風羽ちゃん

終わりにしよう」




さっきまでの



不安で哀しい気持ちは




どこに行ったんだろう




嘘みたいに




私の心は静かだった




< 251 / 394 >

この作品をシェア

pagetop