冗談なんかじゃなかった



誰でも いい



伊織くんが私を迎えに



暗闇の中の私を迎えに来てくれないなら



誰でもいい




「冗談じゃないよ?
それとも私が相手じゃ勃起しない?」



クスクス笑いながら訊くと



「やめてくれよ……」



てっちゃんは


絞り出すような声で



「……タバコとかも………
やめてくれよ……
そんな風羽、見たくねぇよ…」




やめられるなら



やめる方法があるなら



とっくに やめてるよ



「男の子ってさぁ………
好きじゃない女の子でも
抱けるんじゃないの………?」



「抱けるよ
好きじゃない女の子なら
チャンスさえあれば簡単に抱ける」



「だったら、なんで抱いてくれないの……?」



「オレは風羽が…………」



「違うっ!」



私はてっちゃんの言葉を遮って叫んだ



「伊織くんだよ………

なんで私を抱いてくれなかったのかなぁ…

好きじゃないなら
どうでも いい存在なら

優しくしないでボロボロに…

ボロボロに傷付けて欲しかった

伊織くんなんか大嫌いって言えるくらいに

傷付けて欲しかったよ……」


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