道の上



赤い空から



白い雪が降る






信じられない気持ちで
呆然と伊織くんを見つめると




伊織くんは伏せ目がちに




ゆっくり私に近づいて





「大丈夫?」




私の震えてる両手を握った






「………だ……大丈夫………」




はぁ…って吐いた白い息まで震えてるみたいだった




「本当に……伊織くん?」



私の言葉に



「ん?あぁ」と伊織くんはうなずいて




「髪型だろ?」って少し笑った




そう久しぶりに見た彼は



少し長い緩いパーマの髪を
すっきり短くしてたから




ピアスもネックレスもリングもなかった



「一応、店長だからね
それなりの身なりじゃないとさ」




別に 伊織くんの格好で「本当に…伊織くん?」なんて訊いたわけじゃないけどね




あんまり すごいタイミングで現れて助けてくれたから




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