繋がった両手に


雪が ひとひら 降りて



すぅっと とけて 消えた




「………家まで送って行くよ」




伊織くんが呟いて




ゆっくり手をほどいた




あ………



二度と繋がることはないと
思った愛しい手




「やだ…………」



私はもう一度 手を伸ばして
伊織くんの手を掴む



「風羽ちゃん?」



「………手、つないだままじゃ
…………ダメ?」




私はまっすぐ
伊織くんの目を見つめた



お願い 伊織くん



離したくない




その手を離したくない






伊織くんは哀しそうに
目を伏せて




「………行こう」




手をつないだまま



歩き出した





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