空
そう言われて
何から話せばいいのだろう
ストーブの前に突っ立ってる私を伊織くんは目を逸らさずに見つめる
ドクン、ドクン、ドクン
伊織くんと話しが出来るのは今夜だけだ
今夜を逃したら一生後悔する
空羽が教えてくれたこと
無駄にしてはいけない
私は伊織くんの隣に座って
膝の上で手をギュッと握りしめた
ドキン、ドキン、ドキン、ドキン………
心臓の音だけが頭に響いて
クラクラしてきた
何も言えない私
伊織くんはずっと黙ってる
「………あの、あのね伊織くん」
私を見つめる伊織くんは真顔で何も感情を読めなかった
もしかしたら伊織くんは私以上に緊張しているのかも知れない
怖くなって目を逸らしたくなったけど、そんな自分に負けてはいけない
伊織くんが好きなら
諦められないなら
負けてはいけない