「私は伊織くんが好き

出逢った時から今もずっと」



胸がのどが何か詰まったみたいに苦しくて



胸元をギュッと握りしめた



「思えば伊織くんと出逢ってからずっと私たちの間にはいつも何かがあった」



何かがあった


私と伊織くんはいつも間に何かを挟んで付き合ってた



それは 私の妹である『空羽』だったり



それは伊織くんの好きな人である『茜音さん』だったり



それは伊織くんの息子の『伊音くん』だったり



いつだって私たちの間には何かが横たわって



一度だって二人きり向き合えたことはなかった





「伊織くんの事情はわかってる

だけど一度くらい

何もかも取り払って向き合いたいよ

そうじゃないと……私…どこにも行けない

ずっとずっと伊織くんとの恋に縛られて

後悔に押し潰されて

ずっとずっと迷子のまま……

どこにも行けないよ」



泣かないように


強く伊織くんを見つめた


伊織くんの目には にらんでる ように映ったかも知れない




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