私の前に腰を下ろして



「どうしたよ?」



優しく頭を撫でてくれる



ぐすっと一度 鼻水をすすってから



「てっちゃんこそ………
彼女は……………?」



ああって てっちゃんは頭をかいて



「なんか、空羽の奴が夢に出て来てよ

頼むから家に帰ってくれって」




「…………え?」



「んで、寝てる彼女を放って帰って来たらお前泣いてるし」



そっか


やっぱり空羽だな


さすがは空羽……………



「風羽、どうした?」



心配そうに私の顔をのぞき込んで



テーブルの上のティッシュ箱を乱暴に取って



「ほら、鼻水。
チ――ンしろ」



私の鼻にティッシュを当てて
鼻をかませてくれた


こんなこと、してもらったの



幼稚園の時 以来だな



鼻を拭いたあと


伊織くんとのことを話した


言葉にする度に涙がこぼれて


所々、たくさん泣いて


話を何度も中断しながら


てっちゃんは何時間も


私の話を聴いてくれて



「よく頑張った。
風羽はえらいよ

よく頑張ったなぁ」


太い力強い腕で抱きしめて
わしわしって犬を撫でるように
私の頭を撫でた



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