「オレさ、いつも風羽ばっかり心配だった


心臓の病気のせいで周りは空羽のこと心配するだろう?


でも空羽は芯が強くて病気なんかじゃへこたれねぇし


逆に周りに気ぃ使って思ったことも言わねぇ風羽が

オレはいつも心配だった」




だけどって てっちゃんは呟いて




「その時、初めて空羽の弱い部分が見えてさ

死んじゃうかと思ったって

空羽が泣いたんだよ

あんなに強いって思ってた空羽がオレに弱い部分を見せて


守ってやりたいなって

愛しいなって

空羽が好きだって思った」



空羽が 泣いた


私は空羽の涙を見たことが
なかった





「それで空羽がオレに1つお願いをしてきた」



「お願い?」


私が訊くと


てっちゃんは少し困ったような顔して うなずいた



きっと 空羽のお願いを聞いた時も そんな表情をしたんだろうな




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