空
てっちゃんは笑って私を見た
てっちゃんだって
わかってるクセに
「私たちは無理だね」
真っ直ぐてっちゃんを見つめた
「幼なじみで近すぎるからって
私、ずっと思ってたけど
今は違う
私は伊織くんのことを
全く知らない人じゃないと
付き合えない
これから先も、事ある毎に伊織くんを想うから
てっちゃんだってそう
空羽を事ある毎に想うでしょう?
そんな気配を感じ取れる者同士は
一緒になれない」
てっちゃんは満足そうに
うなずいた
「さて、帰るか風羽」
てっちゃんは ゆっくりシートを起こした
私もシートを起こして
髪の乱れを手櫛で整えると
車は家へと動き出した