空
ズキッ
好きだよ
その言葉に深い意味はないように聞こえた
でも胸は痛い
「どこが どう違うとは言えないけど、雰囲気がいつもと違うよね」
私の様子に気がつかないで
「一緒にいて、落ち着く感じしたよ」
伊織くんは話し続けた
もう これ以上は
空羽に聞かせたくない
「じゃあ、私、帰ります」
ドアを開けて 車を降りて
「さよなら、伊織くん」
お別れを言った
バタン
車のドアを閉めて
急いで家に入った
玄関で乱暴に靴を脱ぎ捨てて
ダダダダダダダダダ………
階段をかけあがる
遠くから
「風羽?帰って来たの」
お母さんの声が聞こえた