空
離さない
後先なんて どうでもいい……
私はいつも伊織くんが好きだ
この腕の中に何度帰りたいと願ったことか
「ダメだ!」
伊織くんは ものすごい力で
私を押し退けた
私の肩を掴んで
「ダメだ。
風羽ちゃんを受け入れることは出来ない」
伊織くんは厳しい顔つきで
私を見つめた
「風羽ちゃんは今、動揺してるだけだ
結婚してると思ってたオレが独りだったと聞かされて
責任を感じて動揺してるだけなんだよ」
何をバカなことを言って……
動揺なんかじゃない
そもそも結婚を決めたのだって
伊織くん
あなたと約束したから
幸せになるって
私は永遠に伊織くんを愛しながら、他の男性と人生を歩むのだと
あなたに約束したから
だけど
その約束も
伊織くんが茜音さんと伊音くんと幸せになってることが前提だよ
あなたが
伊織くんが独りなら
そんな約束
意味を なさない