空
暗い夜道を
とぼとぼ1人で歩いた
てっきり、幸せになってると思ってたのに…………
―――最後に見た君の涙が頭から離れなかったから―――
伊織くんの言葉が胸によみがえり
通りかかった実家近くの公園に入り
自販機でお茶を買って
ベンチに座った
あ、この公園
初めてのデートで伊織くんと待ち合わせた公園だ
このベンチに座って伊織くんを待って
見つめ合いながら
ケータイ越し話しをしたんだ
「ふふっ」
緊張した あの時を思い出して笑った
私は伊織くんが好きだ
いつだって
伊織くんが好きだ
私は夜空を見上げて
「ねぇ、空羽」
晴れた夜空には星が瞬く
「そこから見てんでしょう?
空羽」
――定番はお空の上でしょ――
何年も前に空羽が夢の中で言った言葉を思い出す