空
ピッてケータイを切ると
ケータイを握りしめたまま
ベッドにダイブした
ボフッ
枕に顔を埋めてうつ伏せに寝転がる
……ドキドキドキドキ
伊織くんに言う
『おやすみなさい』って
すごく特別な言葉みたいに
口にした後すごく照れた
―――おやすみ、空羽ちゃん
伊織くん………
私の本当の名前は風羽なんです
デートした あの日から
私は伊織くんに嘘をついてる
でも、今さら
私は空羽の双子の姉です
そんな事、言える?
すっかり空羽に成り済まして
伊織くんと接して………
それに
私は 言えるの?
空羽は…………いないって……
空羽は……死んでしまったって