空
「どうした?風羽?」
てっちゃんはベッドに座って泣く私を優しく抱きしめて
「よしよし。たくさん泣いていいからな。風羽が泣きやむまでオレずっと抱きしめてやるから」
頭をなでて てっちゃんは
ずっと何も聞かずに
私を抱きしめてた
ずっと ずっと泣きやむまで
「よし、よし。我慢しないで
たくさん泣け」
このセリフは いつも子供の頃にお母さんに叱られた時
てっちゃんの家に逃げた私に
てっちゃんが言ってくれた言葉
私は たくさん泣いた
泣いて泣いて
そのうち涙が枯れたのか
自然と目が渇いた時
私は 初めて他人に
金森先生との話をした
今の彼がすごく好きなのに
本当に してもいいと思ったのに
あの金森先生の時の恐怖感がよみがえって出来なかった事を
てっちゃんに話した