てっちゃんの腕の中は


温かくて安心できた

私の話を黙って聞いてた
てっちゃんが



「……ごめん」



小さな声で謝った



「え?どうして、てっちゃんが謝るの?」



私はてっちゃんの胸から涙や鼻水でぐしゃぐしゃの顔を上げて聞いた



てっちゃんは私の目を真っ直ぐ見つめてから



私をまた ぎゅうって抱きしめて



「風羽を塾に誘ったのオレだ」



「……違うよ………」



もう一度、顔を上げようとしたけど、てっちゃんは私をきつく きつく抱きしめて


「………助けてやれなくて
本当にごめん」



悲しそうにてっちゃんは


絞り出すような声で言った




てっちゃんは何一つ悪くない



私が金森先生を
勝手に好きになって


付き合って



拒否出来なかっただけなのに




「大丈夫だよ。風羽。今はまだ早いんだよ……絶対にお前の事を幸せにしてくれる男が現れるから」



「……てっちゃん」


「大丈夫だ。怖くないよって
ちゃんと風羽を愛してくれる男が絶対に現れる。その時まで焦らねぇで待ってろよ」




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