ラストライブ
*3
二人が好きなバンドは、ボーカルが可愛いシルクハットを被ったショートカットで栄(えい)という十八歳の、四人編成でゴシックな出で立ちのバンドだった。
勿論、二人ともボーカル氏のことは大好きだが、それ以外のギターやベース、ドラムの人のことも好きだった。
彼らは、月に1、2回その小さなライブハウスでライブを行うアマチュアバンドだった。
四人とも学生ではあるが、学校はバラバラで楽器屋のメンバー募集を見て集まった同士である。
浅美は、1回目のライブから一目で彼らのことを気に入り、ライブがある日は必ず見に来て通い詰めていた。
それから、半年が経った。
今では、この毎回通って皆勤賞の浅美をメンバー全員が認識している。
だからといって、特別待遇されるという訳ではないが、ライブが始まる前や終わった後に彼らとお話しをできるのが、浅美にとって唯一の心のよりどころとなっていた。
半年の間で、栄に学校で同じクラスに恋人がいるらしきことや、他にも根も葉もない悪趣味な噂なども取り巻きから聞かされてきた。
だが、打ち上げに紛れ込み栄と二人でこっそりと会場を抜け出したことだってあったり、それなりに楽しい思いもあった。
母親が家に帰ってくるまでの、門限つきのシンデレラ。浅美は、ガラスの靴を手に入れた気分だった。
勿論、二人ともボーカル氏のことは大好きだが、それ以外のギターやベース、ドラムの人のことも好きだった。
彼らは、月に1、2回その小さなライブハウスでライブを行うアマチュアバンドだった。
四人とも学生ではあるが、学校はバラバラで楽器屋のメンバー募集を見て集まった同士である。
浅美は、1回目のライブから一目で彼らのことを気に入り、ライブがある日は必ず見に来て通い詰めていた。
それから、半年が経った。
今では、この毎回通って皆勤賞の浅美をメンバー全員が認識している。
だからといって、特別待遇されるという訳ではないが、ライブが始まる前や終わった後に彼らとお話しをできるのが、浅美にとって唯一の心のよりどころとなっていた。
半年の間で、栄に学校で同じクラスに恋人がいるらしきことや、他にも根も葉もない悪趣味な噂なども取り巻きから聞かされてきた。
だが、打ち上げに紛れ込み栄と二人でこっそりと会場を抜け出したことだってあったり、それなりに楽しい思いもあった。
母親が家に帰ってくるまでの、門限つきのシンデレラ。浅美は、ガラスの靴を手に入れた気分だった。