ラストライブ
*4
間もなく次のバンドへの転換がおこなわれるので、二人は素早く絵梨のドリンクを引き換えて席へと戻った。
相変わらず、続いて似たりよったりの音を出すバンドが演奏し始めた。
しかも、よりによってキメの音の所でギターとベースがズレている。
ドラムのカウントも、てんでボーカルと息が合ってなくめちゃくちゃだ。
浅美は、今のうちにトイレへ行こうと思いたった。
カラフルなリボン柄のポーチを片手に、やや隙間のある人ごみをすり抜けて、ライブハウス後方のバー横にあるトイレへと辿り着く。
中へ入っても、ステージからの音が腹の底から伝わってくる。
しかし、そこで、浅美はある人物に気づいた。
以前、彼の家で鉢合わせしたことがある彼女の里江(さとえ)である。
浅美の心の中で、どろどろと憂鬱な気持ちが積もっていき、血液が赤黒く濁っていくようだった。
こんなところで何をしているの?と聞くように、彼女は多少見下すような角度で浅美のことを見た。
相変わらず、続いて似たりよったりの音を出すバンドが演奏し始めた。
しかも、よりによってキメの音の所でギターとベースがズレている。
ドラムのカウントも、てんでボーカルと息が合ってなくめちゃくちゃだ。
浅美は、今のうちにトイレへ行こうと思いたった。
カラフルなリボン柄のポーチを片手に、やや隙間のある人ごみをすり抜けて、ライブハウス後方のバー横にあるトイレへと辿り着く。
中へ入っても、ステージからの音が腹の底から伝わってくる。
しかし、そこで、浅美はある人物に気づいた。
以前、彼の家で鉢合わせしたことがある彼女の里江(さとえ)である。
浅美の心の中で、どろどろと憂鬱な気持ちが積もっていき、血液が赤黒く濁っていくようだった。
こんなところで何をしているの?と聞くように、彼女は多少見下すような角度で浅美のことを見た。