村崎指揮部(更新停止)
賑やかな声が耳をつく。
いつもならあっという間に終わる短い放課が、異様に長く感じたのは気のせいか。
「おい子門、お前何で千津先生と一緒にいたんだよ。」
「何でって?」
「説明しろ。この前も一緒にいるとこ見たし、いつもクールな千津先生が……」
「何だよ。」
「お前に何か意味あり気に微笑み掛けてたじゃねーか!」
「そうか?」
「とぼけんじゃねえよ!青春独り占めしてんじゃねえよ!」
本当に…
…俺は夢でも見てたのか?
「佐藤、お前いつもの佐藤だよな?」
「ぁあん?話すり変えてんじゃねえよ!まだお前には言い足りないことが山程…」
(キーンコーンカーンコーン)
「…続きは昼放課な。覚悟しとけよ。」
チャイムに救われたのか。
それとも…
(ガラガラガラガラ)
…また悪夢を見ているのか。
「起立。」
村崎の号令に皆一斉に立ち上がった。
「礼。」
掛け声に反応しているだけなのだろうか。
それともすでに奴の猿芝居が始まっているのだろうか。
こんな考えを思い張り巡らしていることを悟られぬように細心の注意を払った。
「着席。」
出席を確認するための点呼が始まった。
「赤西君。」
「はい。」
「小山君。」
「はい。」
「木下君。」
「はい…」
一見いつもの授業開始の風景。
ただ違うのは教卓に立つ人物。
「…小林君。」
「はい。」
「小森君。」
「はい。」
「えーと、これは…こもん?こかど…」
「しもんです。」
……しまった……
「へぇー…しもん君って言うんだ。変わった名字なんだね。」