村崎指揮部(更新停止)
子門ジンの孤立
アレックス・村崎・ロドリゲスと名乗った男は、奇妙な魔術を唱えるでもなく呪文らしきフレーズを口にしたわけでもなく
「お前らは俺の奴隷だから。」
その一言で、たちまちA組のクラスメイト全員を支配下に収めたらしい…
…俺以外を除いては…
…これが奴のミスなのか、はたまた策略の一つなのか定かではないが
「北校舎は全滅。案外チョロかったな。」
そんな奴の口振りから察するに、大方誤算で間違いなさそうだ。
それにしても何故俺だけが奴の謎めいた存在に平伏さなかったのか。
疑問に思ってる最中…
(ガラガラガラガラ)
理科室の扉は開き、南向きの心地良い陽射しが暗闇に差し込む。
どうやら教室で居眠りというよりは爆睡に近い仮眠をとっていた椎野アコが遅れてやってきたようだ。
彼女もまた俺と同じで、この異様な状況に疑問を抱いていた。
その椎野の後ろにいる姫路カオリは依然として村崎の術中にあるようで、椎野の問い掛けにも終始だんまりを決め込んでいる。
「ちょっと黙ってろ、マジで。」
しばらくして聞こえてきた威勢のいい怒声と共に、椎野は口を閉ざした。
どうやら俺一人を残して…
…A組は全滅…
…しばらく様子を伺うためにも、俺は奴隷に成り済ますことにした。