Security Abyss 2
偶像
風はゆるく、日差しもやわらかい外界とはまるで切り離された部屋で、戸部(トベ)は漫画を読んでいた。
「モーセ……?こんなサービス登録してたっけ……?広告メール屋も大変だよなー」
普通の高校生ならば当然学校に通い授業に出ている時間、戸部がいる部屋は自宅の一室。いわゆる自分の部屋。学年の初めは彼も素直に登校していたが、数ヶ月経った今は見る影も無い。遅刻の常習であり、欠席も目立つ。不良グループというわけではなく、むしろ不良グループに目を付けられ、いじめられている存在。最初のうちは「心配をかける対象」として、「やさしい自分」を演出したい人間に消費されていたが、次第にそれも飽きられていた。
「めんどくさいなー……」
周りには菓子のゴミが散乱し、清涼飲料水の容器が足場を狭めている。かつてはインターネットが彼の孤独を癒していたが、今ではそこも不良もどきがおちゃらけて跋扈している。彼らの調子に合わせる気には、とてもなれなかった。
「くそっ、調子乗ってる奴マジ死なねえかなー」
「モーセ……?こんなサービス登録してたっけ……?広告メール屋も大変だよなー」
普通の高校生ならば当然学校に通い授業に出ている時間、戸部がいる部屋は自宅の一室。いわゆる自分の部屋。学年の初めは彼も素直に登校していたが、数ヶ月経った今は見る影も無い。遅刻の常習であり、欠席も目立つ。不良グループというわけではなく、むしろ不良グループに目を付けられ、いじめられている存在。最初のうちは「心配をかける対象」として、「やさしい自分」を演出したい人間に消費されていたが、次第にそれも飽きられていた。
「めんどくさいなー……」
周りには菓子のゴミが散乱し、清涼飲料水の容器が足場を狭めている。かつてはインターネットが彼の孤独を癒していたが、今ではそこも不良もどきがおちゃらけて跋扈している。彼らの調子に合わせる気には、とてもなれなかった。
「くそっ、調子乗ってる奴マジ死なねえかなー」