7年目の浮気
「彼が、浮気してたの。」

「うん。」

「それで。それで・・・。」



加藤が指で茉莉花の頬を拭った。


それではじめて、また涙があふれてきていることに気付いた。

加藤が、あまりやさしいので、甘えている自分をどうにかすることが出来ない。



「彼はなんて?」

「・・・え?」

「許してほしいって?」

「・・・いや、まだ、どう思ってるかは聞いてない。」

「ちゃんと話し合ったほうがいいよ。どんな結果になっても。」

「・・・。」

「最悪、思い切りぶん殴ってやれば気も済むんじゃない?」

「・・・そんなこと出来ないよ・・・。」

「じゃ、俺が代わりに殴ってやろうか?」


加藤がふざけた調子で言うので、思わず笑ってしまう。


「あっ」


加藤が茉莉花を抱きしめる。


「・・・話し合ってダメだったら、俺のとこに来なよ。」


耳元で囁かれた甘いセリフが、いつまでも体内をこだました。
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