ちぇりっしゅ 修正中^^

『梨紗』


聞こえたのは紛れもなく奏の声だった

翔のことは……好きだったし 今も好き

でも あたしが今大切にしなきゃいけないのは奏


いつも真っ直ぐにあたしに思いをぶつけてくれる奏


お母さんも祥子さんもあたしと翔を付き合わせたかったんだと思う

だから家に2人っきりにしたんだよね?


だけど……

もう遅いよ


翔は「そっか」と短く答えてそれきりあたしに背中を向けた

出ていけとも出て行くなとも

一言もいわなかった


背を向けるとき一瞬見えた悲しそうな顔が焼き付いて離れなくて

お母さんの電話の声が何回も頭の中でこだまして


あたしは一睡もできないまま朝を迎えた



いつもより早く朝食の準備をすませる

お弁当も作る

あたしの使命だから


翔が起きないうちに家を出る

これからのこと……考えなくちゃ


とりあえず気持ちの整理がしたい

あたしに何ができるんだろ?


とぼとぼと通学路を1人で歩く

『変人』

いつかの翔の言葉を思い出す


「やばっ ダメだ……あたし」


忘れようとしても無理だ

いろんなところに大嫌いだった翔との思い出



「奏に……会いたい」

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