加納欄の合コン シリーズ10
”お前に、しおらしくなんてムリだよ”


大山先輩の言葉が、頭をよぎった。

シオラシク……(-.-)


あたしは、怒りを一端しずめ、瞳を少し潤ませて、無言で首を左右に降った。

「お願い」

効果があったようで。

「……来いよ」

犯人が、あたしを立たせた。

何にも出来ないと思っているのか、犯人は、拳銃を懐に閉まった。


フ~ン。


「一緒に入ってやるよ」


フ~ン。


女性の化粧室に入ると。

「あの……私……」

「行ってこいよ」

「だって……そこにいられたら」

「なんだよ。入らねぇならもどるぞ」

「お願い……」

あたしは、犯人を見つめたまま、歩み寄った。

「なんだよ」

「お願い……が、あるの」

あたしは、また、瞳を潤ませて、犯人を見つめた。

犯人の手が、あたしの顎を軽く掴んだ。

あたしは、優しく犯人の胸に手をあてた。

あたしは、上目遣いに犯人を見る。

犯人が、ゴクッと喉を鳴らした。

「お願い」

あたしは、消え入りそうな声で話す。

「お願いって?」

犯人が、あたしの言葉に反応する。

「お願いは」

そう言うとあたしは、犯人の急所を膝蹴りし、体を曲げたところに、更にもう1発入れて気絶させた。

あたしは、目だし帽を外し、掃除用具からホースをお借りし、手足を縛り、ちょっとパニックに陥ってもらおうと、顔にトイレットペーパーをグルグルグルグル巻いた。

「お馬鹿さぁん。パニックに落ちてしばらく出てこないでねぇ。ま、口の中にティッシュ詰め込んだから、話すのも大変だろうけどねぇ」

あたしは、化粧室を出て、こっそり中の様子を伺った。

1人は拳銃片手にうろうろしてる。

1人は、店長らしき人を殴っていた。


ちょっと遠いなぁ(-.-)


あたしは、手近にあった椅子を気付かれないように引き寄せ、ガタンッと、その場に落とした。

店長を殴っていた犯人が、音を聞いてあたしの方へ来た。

あたしは、さっき奪った拳銃を背中のパンツに差し込んだ。

「どおしたんだよ」

犯人が話しながら、角を曲がって来た。


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