加納欄の合コン シリーズ10
「祥子は?」

「はい?」

「祥子は、どおしたんだ!」

「え?祥子先輩ならたぶん、奥のホールの方じゃないですか?移動させられてたみたいだから」

言うなり、高遠先輩は、あたしを見捨て、祥子先輩のもとへ、走って行った。


ちょっと!!


支えがなくなって、あたしは、また、ペタンと座り込んだ。

「欄!!」

「大山先輩」

「悪い遅くなって」

あたしは、自分の顔が、傷だらけになっていたことを思いだし、慌てて、横を向いた。

「怒んなよ」

「……怒ってません」

「悪かったって」

「怒ってませんってば」

大山先輩は、肩をすくめた。

「あ、祥子と葉菜ちゃんは?」


また(-.-)?


あたしより、祥子先輩達の方が、大切なんだ。


そ、そうだよね。


祥子先輩達は、大切な人だもんね。


あたしなんて、どうなろうが、構わないよね。


「お、奥のホールに……。お店のお客さん、を、守ってくれてると思います。葉菜さんも、怯えてたから……行って下さい」

言いながら、涙が出そうになった。

蹴られた箇所が、ズキズキと痛かった。

大山先輩が。

「そっか」

と、言うと、あたしを、引き寄せ抱き締めた。

「せ、せんぱい?」

「心配させんな」

「え?いや、あの……ごめんなさい」

「顔、隠すなよ」

「はい」

「怪我は?」

「大丈夫です」

「ホントか?」

「蹴られ過ぎて……覚えてません」

「コメカミのアザは?」

「拳銃でちょっと……」

「唇、切れてるだろ」

「殴られたから……」

「裏で伸びてる奴等は?」

「そこの、店長の仲間です」

「アレ、お前がやったの?」

「はい、いえ、あの……えっとぉ。と、通りすがりの親切な人が……」

「……通りすがり?ま、欄じゃないよな。今日のお前は、しおらしくなるんだったもんな?」


言うと思った(__)


「しおらしくしてたんだよな」

「し、してましたよ。ちゃんと」

「するなよ」

「え?」



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