加納欄の合コン シリーズ10
「そんなことする必要が、どこにあんだよ。そんな似合わねぇことするから、こんな目にあうんだぞ」

「大山先輩、勝手です」

「勝手じゃねぇよ。顔、見せろよ」

あたしは、大山先輩の胸に顔を埋めて、イヤイヤと首を降った。

「欄」

「イヤです!見ないで下さい!」

「見なけりゃ、怪我の具合、わかんないだろ?」

「大丈夫です。たいしたことないです。かすり傷です。すぐ治りますから」

「欄。嫁に行けない顔になったら、どおすんだよ」

「……行かないもん」

「欄、駄々こねるな。他の奴等に見せなくていいから、オレに見せるだけだろ?」


それが、ヤダって言ってんじゃないですかぁ(:_;)


「欄、先輩命令だ。顔見せろ」


ウッ。


ズ、ズルイ。


あたしは、仕方なく、ゆっくりゆっくり顔を上げた。

大山先輩の顔が見れなくて、目線だけ外した。

「っかやろぅ。こんなになるまで、やりやがって」

大山先輩は、小声で呟いた。

「肋骨とか、前に痛めた肩とかは、大丈夫なのか?」

「はい。今回は、骨は大丈夫だと思います。あの、そんなに、ひどいですか……?」

「そうだな。消毒しといたほうが、いいかもな」

「え、消毒?今ですか?薬はぁ、ない、ですねぇ。署に戻ったら、消毒しときます」

そう言ったら、大山先輩が、突然、コメカミの殴られたところに、優しくキスをしてきた。

「え?え?大山、先輩??」

心臓が、高鳴った。

殴られた頬にもキスをした。

「ま、待って下さい!」


ドキン……ドキン(>_<)


「……唇も、切れてるな」


ドキッッ!


「お、大山先輩っ、待って!」

「痛くないのか?」


ドキドキドキドキ。


あたしは、小声で答えた。

「…………い、痛い、です……」

そう答えると、大山先輩は、あたしの唇に、自分の唇を合わせた。

柔らかい大山先輩の唇の感触が伝わると、あたしの目から涙がこぼれた。

大山先輩は、あたしが泣いているのに気付くと、キスするのをやめた。

「悪い……。また、気持ち無視した」

あたしは、泣きながら無言で首を左右に降った。


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